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プロファイル21_いつでもどこでも起こり得る災害に備える 「DIG (Disaster Imagination Game)」

2018.10.10 掲載

こどもエコクラブに関わるサポーター・コーディネーターさんたちが、こどもエコクラブのサポートやコーディネートを通じ、どんな活動プログラムを行っているのか、またどんなことを感じているのかそのリアルな声をご紹介します♪

他のサポーターさんやコーディネーターさんのご意見は、クラブをサポートする側にとって大変興味深いものかと思います。このコーナーがクラブに関わる多くのみなさんにとって取り組みのヒント・今後の活動の充実のための参考となって、どんどんクラブが元気になりますように★

活動クラブ  
片瀬少年少女探検隊(神奈川県藤沢市;児童館・公民館のクラブ)

活動分野生活・省エネ、イベント・交流会

普段から、自分たちが住む地域の自然に直接触れ合うことで主体的に自然環境について考えられることができるような活動を展開しています。
藤沢市片瀬地区の小学4年生から6年生が集まり、月1回のペースで里山や江ノ島の自然観察・調査活動やエコを意識したごみの少ない料理作りなどに取り組んでいます。また、探検隊を卒業して中学生・高校生になった子どもたちが、サポートスタッフとして活動に参加し、次世代スタッフの育成の場としても活動しています。

プログラムについて
DIG(ディグ、災害(Disaster)、創造力(Imagination)、ゲーム(Game)の頭文字をとったもの)は、参加者が地図を使って防災対策を検討する訓練です。DIGという単語は「掘る」という意味を持つ英語の動詞ですが、探究する、理解するといった意味も持っています。このことから、DIGという言葉には「災害を理解する」「まちを探求する」「防災意識を掘り起こす」という意味もこめられています。

実施のきっかけ
東日本大震災を初めとして、災害はいつどこで起こるかわかりません。災害を知り、自分たちの住むまちを知り、今後いつ起こるかもしれない災害の姿をイメージすることが防災につながると考え、このプログラムを実施することになりました。

活動時期
特に季節は問わないが、暑すぎず寒すぎず外出に適した時期がよい。
9月は1日が防災の日なので意識づけにも最適。

活動場所
自分たちの住んでいる地域(エリアを決めて活動)

準備するもの
メンバー:水筒・タオル・筆記用具
サポーター:地図(※1)、透明シート(※2)、油性ペン(細字・太字を組み合わせて8~12色程度)、ベンジン(油性ペンの修正用)、セロハンテープ、はさみ、付箋(いろいろなサイズがあると便利)、ドットシール(丸いシール、サイズ・色各種あるとよい)、カメラ、画板

 ※1 地図は1/10000以上の縮尺のものがよいでしょう。「住宅地図」、「市街地図」という名前で販売されているほか、お店の端末で印刷できるコンビニもあります。また、無料で利用できる地図のウェブサイトもいくつかあります。各自の責任でのご利用をお願いします。
※2 ホームセンター等で売っている、薄手のテーブルクロス(厚さ0.1~0.3mmくらい)が便利です。1m四方で500円くらい。


活動内容(プログラム)の流れ
(1)現地調査写真1WEB.JPG
各班が決められたエリア(1班の担当エリアは500m四方程度がよいでしょう)の地図を持って町に出て、以下のような地域の自然条件、町の構造、利用できる施設・設備や危険な場所などの位置をチェックし、地図にこれらのポイントを記録していきます。
【調査するポイント】
・山と平地の境界線
・河川・池沼・水路の位置
・鉄道、主要道路、路地・狭い道、公園・広場、用水・小河川
・役所・消防署・公民館などの施設、学校・幼稚園、病院、食料品・日用品・写真2Web.JPG薬品・燃料等の販売店
・防災倉庫、防火水槽・消火栓
・ブロック塀・石垣、大型の看板、自動販売機

(2)基本地図の作成
模造紙大の地図の上にビニールをかぶせます。まず、海岸線、山と平地の境界線や河川・池沼の位置などの自然条件を全員で確認します。次に、以下の手順で町の構造を確認します。
① 鉄道を黒色のペンでなぞります。写真3Web.jpg
② 国道や県道など広い主要な道路から順番に、路肩を茶色のペンでなぞります。
③ 狭くて消防車が入れないような路地や、幅2m以下の道路をピンク色のペンでなぞります。
④ 公園・広場、学校・神社・仏閣・田畑等のオープンスペースは、その輪郭を黄緑色のペンでなぞります。
⑤ 水路・用水・小河川などや海岸線など水道が止まったときに水が取れる場所を青色のペンでなぞります。
⑥ 火災が起こったときに延焼を防いでくれそうな鉄筋コンクリート造の建物(マンション・ビル等)の輪郭を紫色のペンでなぞります。川・道路・鉄道・公園・広場などそれぞれ色を決めて、自分たちの住む片瀬地域の基本的な地図を作ります。基本地図が出来たら、先ほど現地調査した防火設備などを地図に書き入れていきます。

(3)地域の防災資源を書きこむ写真4Web.jpg
①役所・消防署、学校・幼稚園、病院など、災害救援にかかわる機関・施設の名前を付箋に書き、見つけたポイントにドットシールを貼ります。
②避難所、食料品・日用品・薬品・燃料等の販売店、防災倉庫、防火水槽・消火栓など、地域防災に役立つ施設を見つけたポイントに、種類別に色分けしたドットシールを貼ります。

(4)転倒・落下したときに危険となる施設等を表示する
調査したポイントの中に危険物はないか探し、ドットシールを貼ります。範囲が大きい場合は輪郭を囲んで斜線を引いてもOK。

(5)作業のまとめ
完成した地図を見ながら、以下の点について気づいた点や考えたことを各自付箋に書きだします。
重複してもかまわないので、なるべくたくさん書きましょう。写真5Web.JPG
・この地域の特徴
・防災・災害救援のときにプラスになること
・防災・災害救援のときにマイナスになること

(6)発表
グループごとに発見したことを発表し、参加者全員で結果を共有します。
 

all.jpg子どもたちの感想
今回こうして身の回りにある災害に役立つ器具を気にして歩いたり、地図に書くことで、もし本当に災害にあったり見たら、今回学んだことを実際にしたいです。
私が思っていた以上に道があり、公園のある場所とない場所の差がとても大きかったです。境川が地図で見ると地図の8分の1くらいを占めていました。橋も色々あってびっくりしました。
川や避難施設をマークしたりして災害時の避難場所が一目でわかる地図になりました。
色々な道を探検して防災地図作りをしてとてもためになりました。今度地震や津波が来た時に逃げられるといいです。
今日は本当によくできました。これからも「片瀬のために」ということをしていきたいです。
普通に歩いていると気がつかなかった。消火栓などを注意して見るといっぱいあってびっくりした。
カワセミ.png✿活動の際の留意点・アドバイス✿写真6Web.JPG
DIGでは、参加者が大きな地図を囲み、みんなで書き込みを加えながら、ワイワイと楽しく議論していきます。その中で参加者は、参加者と家族の住む地域に起こるかもしれない災害をより具体的なものとしてとらえることができるでしょう。また、ゲーム感覚で災害時の対応を考えることもできるはずです。
DIGの効果として、「災害を知る」「まちを知る」「人を知る」という3つが挙げられます。DIGをやってみると、我が町におこりえる災害の姿をより具体的にイメージできます、また、意外なほど自分の住むまちのことを知らなかったことに気づくでしょう。
まとめ・発表は可能な限り行ってください。自らの発見を確認し、お互いの発見を共有するためには、まとめ・発表は不可欠です。時間が短い場合は代表に発表してもらいましょう。
定期的に(例えば年1回)同じエリアを歩いてみて、変化があったところを地図に反映させていくと、より実用性が高くなります。
asagi.png他のクラブへのメッセージ!✿
私たちのクラブでは、片瀬地区を4つに分けて各班で調査をしましたが、クラブの規模に合わせて通学路だけとか地域内の限られたエリアとか、活動規模と時間に合わせたエリア設定をするとよいと思います。

~全国事務局より~エコ丸★透過.png
この夏は豪雨に始まり、台風、そして地震と各地で大きな自然災害が相次ぎました。自らの身の安全を確保し、被害を最小限に食い止めるために何ができるか、何をすべきかを考えて、いざというときに実行できるよう常に心がけておくことが大切ですね。
片瀬少年少女探検隊さんは、地区の防災訓練や避難所生活体験など防災に関する活動を定期的に行っています。他にも多くのクラブが防災関連の活動を行ったり、イベントに参加したりしています。ぜひご覧ください。
・防災訓練見学 ぐんまふじおかこどもエコクラブ(群馬県藤岡市)
・豊洲防災エキスポに参加! ななちゃんズ(千葉県市川市)
・避難所を作ってみた ゴーウィングス(愛知県名古屋市)
・野草を食べよう あっそ児童館エコクラブ(和歌山県上富田町)
・夏休みこども防災教室 西の台こどもエコクラブ(大分県大分市)

atama.png災害メッセージブックを差し上げています
2年前の熊本地震などの災害を経験したこどもエコクラブのメンバーたちの声を集めた「災害から学ぼう~ぼくたち・わたしたちの体験メッセージブック~」を希望者にお送りしています。日頃の備えを考える際や、今後の防災活動の資料としてなど、ぜひ多くの方にご覧いただきたい内容となっています。
ご希望の方は、全国事務局までお申し込みください。
■申込方法
タイトルを「災害メッセージブック希望」として、こどもエコクラブの場合はクラブ名、それ以外は団体名、郵便番号、住所、代表者名、必要部数、使用目的(例:防災活動の子ども向け資料として)を書いて、メールあるいはFAXでお申し込みください。
送付にかかる費用はクラブ・団体でのご負担となりますので、何卒ご了承ください。
■申込先
こどもエコクラブ全国事務局「災害メッセージブック係」
メール:j-ecoclub@eic.or.jp FAX:03-5829-6190

みんなもチャレンジしてみよう!

「リアルヴォイス」では、幼児から取り組める簡単なプログラムから、学校や地域全体で取り組めるプログラムをご紹介いただけるサポーター&コーディネーターを大募集しています!また「こんなプログラムを紹介してほしいな」というリクエストも同時に受付けています♪

タイトルを「リアルヴォイス」とし、ぜひ全国事務局までメールをお寄せください。
プログラムをご紹介いただいた方は、こどもエコクラブ粗品を差し上げます。
皆様からのたくさんの声(ヴォイス)を、お待ちしています!

こどもエコクラブ全国事務局