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第45回:☆高知県(環境活動支援センター えこらぼ)・上田 史さん

2016.01.10 掲載

こどもエコクラブに関わるサポーター・コーディネーターさんたちが、こどもエコクラブのサポートやコーディネートを通じ、どんな活動プログラムを行っているのか、またどんなことを感じているのかそのリアルな声をご紹介します♪

他のサポーターさんやコーディネーターさんのご意見は、クラブをサポートする側にとって大変興味深いものかと思います。このコーナーがクラブに関わる多くのみなさんにとって取り組みのヒント・今後の活動の充実のための参考となって、どんどんクラブが元気になりますように★

私たちコーディネーターによる個々のクラブのニーズに合ったサポートも、こどもエコクラブに登録するメリットといえるのではないでしょうか。

都道府県:高知県(環境活動支援センター えこらぼ)
上田 史さん(JECコーディネーター歴 4年)
 インタビュー.bmp

 幕末のヒーロー、坂本龍馬の出身地として有名な高知県。黒潮の恵みを受けたカツオのたたきや豪華な皿鉢(さわち)料理が名物ですが、森林の割合が日本一高い(84%)「森の県」でもあります。豊かな自然に囲まれた県内で、22クラブ、321人のメンバーがこどもエコクラブに登録して活動しています。
 東西に長い高知県内をかけまわって、こどもエコクラブをはじめとする環境活動・環境学習の推進に力を尽くされている、「環境活動支援センター えこらぼ」スタッフで高知県コーディネーターの上田さんにお話しをお聞きしました。

えこらぼさんでは、子ども向けのイベントやキャンペーンを数多く実施されていますが、子どもを対象とした企画を立てる際に意識していることは何ですか。また、これまでで一番人気のあったものを教えてください。

子どもが「参加したい!」と思う魅力的な企画や、わかりやすく楽しいプログラムを提供すること、また、子どもたちの自然体験や実践活動を応援する、ということを意識しています。

 えこらぼでは平成24年度から学校を対象にした「環境絵日記」に取り組んでいますが、学校で習ったことや本で調べたことをそのまま描くのではなく、子ども自身が体験したことや身近な環境について発見したことを描いてもらえるよう、テーマや募集チラシのデザインを工夫したところ、開始から3年目で大幅に応募が増え、今年度も1,700点を超える作品が集まりました。子どもたちや家族の様子がイキイキと伝わる「環境絵日記」は、地域のイベントなどで展示しても人気があります。 

五台山①.JPG 五台山②.JPG

「えこらぼの文化祭」というイベントを2009年から毎年開催されていますが、どのようなイベントですか。こどもエコクラブはどのように関わっているのでしょうか。

「えこらぼの文化祭」は、環境活動支援センターえこらぼと高知県地球温暖化防止活動推進センターが、年に一度、活動を通して得たいろいろなつながりや活動の広がりをお披露目するイベントです。県内の環境活動団体やえこらぼに登録している環境学習講師のみなさんによる体験プログラムを通して、県民のみなさんに楽しみながら環境活動について知っていただくことを目的にしています。また、こどもエコクラブの交流や発表の機会としても位置付け、こどもたちによる活動発表や壁新聞展を通して、日ごろの活動をアピールしていただいています。

えこらぼ文化祭.JPG

高知県では、昨年9月にこどもエコクラブの壁新聞作り講習会を開催されました。おそらく初めての取り組みだと思いますが、なぜこのようなイベントを企画されたのでしょうか。また、参加者の感想などございましたら教えてください。

一年間の活動を壁新聞にまとめ発表の機会を得ることは、子どもたちの成長やクラブの活性化につながりますし、こどもエコクラブに登録するメリットの一つだと思います。高知県における壁新聞の取り組みは、香美市のこどもエコクラブが特に熱心で、全国でも高い評価を受けていますが、その一方で、新しく登録したクラブやこれまでに壁新聞に取り組んだことのないクラブからは「取り組んでみたいがきっかけがつかめない」「ウチのクラブには難しそう」という声がありました。そこで、クラブへの活動のサポートとして、サポーターを対象に、壁新聞づくりの指導方法や制作手法などを学び、他のサポーターと交流する「壁新聞づくり講習会」を企画しました。

 講師は、香美市こどもエコクラブの時久恵子さん(※1)にお願いしました。時久さんはサポーターとして20年の経験がある大先輩なので、参加したサポーターのみなさんは、壁新聞づくりの手法はもちろん、メンバーの年齢に合った目標の立て方やサポートのしかたなどについても多くのヒントを得られたようでした。実はそのとき参加したクラブが、既に今年度の壁新聞を提出してくれたのですが、さっそく成果が現れており、昨年度の壁新聞よりぐっと読みやすく、魅力的になっています。

壁新聞講習会.jpg

(※1)時久恵子さんは、第21回リアルヴォイスにご登場いただいています。コチラからご覧ください。

コーディネーターとして、新しいクラブを勧誘したり、既に登録しているクラブとコミュニケーションしたりするうえで、工夫していることを教えてください。

新しいクラブの勧誘については、年度の初めに県内の全小中学校へ資料を送付するほか、えこらぼが実施している環境学習講師派遣事業などを通してつながりのできた団体や放課後児童クラブなどを対象に行っています。例えば放課後児童クラブについては、県内の放課後児童クラブ/子ども教室の活動支援を行っているNPO法人高知県生涯学習支援センターを通じて情報提供を行っていただくなど、関連する団体等の協力を得ながら、こどもエコクラブの活動PRを行っています。

 登録クラブとのコミュニケーションにおいては、サポーターさんと顔の見える関係を築くことを心がけています。具体的には、交流会の開催、イベントや講習会等へのお誘い、そして、実際はなかなかタイミングを合わせるのが難しいのですが、機会を見つけて活動の現場にも足を運ぶようにしています。こどもエコクラブは、クラブの形態や年齢構成、活動目的などがそれぞれに違うため、ニーズもさまざまです。それぞれのニーズに合ったサポートができるよう、ちょっとしたことでも気軽に相談してもらえる関係性を築いていきたいと思っています。

こどもエコクラブと接してきたなかで、特に印象に残っていることを教えてください。

以前高知県に「Happiness」というこどもエコクラブがありました。(※2)えこらぼが高知県事務局として活動を始めた10年前、彼女たちはまだ小学生でしたが、その後さまざまな活動を通して「物部の森をシカの食害から守る」という目標を見つけ、地域の環境活動団体と一緒に実践的な活動を展開するまでに成長しました。2年前に高校を卒業すると同時にクラブからも卒業しましたが、彼女たちの取り組みと活動を楽しむ姿には本当に感心しましたし、環境学習の意義と可能性を示してくれたと思います。

 現在は、「Happiness」の後輩たちが物部の森を守る活動を継続しています。こどもたちの成長する姿を見られることが、コーディネーターとしての一番の楽しみです。

(※2)Happinessさんは、平成23年度に開催された「こどもエコクラブ全国フェスティバル」にて、環境大臣賞を受賞されました。コチラから是非ご覧ください!

コーディネーターになって、苦労したこと、困ったことはどんなことでしたか?またどのように解決しましたか?

新しいクラブを勧誘する際、パンフレットに書かれている情報を伝えるだけではなかなか登録のメリットが伝わらず、悩んだ時期がありました。その後、えこらぼの講師派遣等の活動を通じてつながりができた学校やグループに対して、ニーズに合った支援をすることで登録につながった経験から、我々コーディネーターによる個々のクラブに対するサポートも、登録のメリットと言っていいんじゃないかと思うようになりました。

活動をはじめて間もないコーディネーターにアドバイスをお願いします

私自身、日々反省ばかりでアドバイスできるようなことはありませんが、実際の活動に参加したり、こどもエコクラブ以外の環境活動にもできるだけネットワークを広げておくと、こどもエコクラブ活動への理解が深まり、活動に広がりが出ると思います。

今後の活動への抱負や意気込みを教えてください。

「活動の現場を見に行きたい」と思いつつなかなか実現しないのですが、今後できるだけ機会をつくるようにして、子どもたちの活動をホームページ等で発信していきたいと思います。

みんなもチャレンジしてみよう!

「リアルヴォイス」では、幼児から取り組める簡単なプログラムから、学校や地域全体で取り組めるプログラムをご紹介いただけるサポーター&コーディネーターを大募集しています!また「こんなプログラムを紹介してほしいな」というリクエストも同時に受付けています♪

タイトルを「リアルヴォイス」とし、ぜひ全国事務局までメールをお寄せください。
プログラムをご紹介いただいた方は、こどもエコクラブ粗品を差し上げます。
皆様からのたくさんの声(ヴォイス)を、お待ちしています!

こどもエコクラブ全国事務局