リアルヴォイス バックナンバー

リアルヴォイス

第21回:♪Happiness・時久 恵子さん

2013.06.20 掲載

こどもエコクラブに関わるサポーター・コーディネーターさんたちが、こどもエコクラブのサポートやコーディネートを通じ、どんな活動プログラムを行っているのか、またどんなことを感じているのかそのリアルな声をご紹介します♪

他のサポーターさんやコーディネーターさんのご意見は、クラブをサポートする側にとって大変興味深いものかと思います。このコーナーがクラブに関わる多くのみなさんにとって取り組みのヒント・今後の活動の充実のための参考となって、どんどんクラブが元気になりますように★

時久 恵子(ときひさ けいこ)さん(JECサポーター歴5年)

みんなで考えて、次々と発展させていく体験や活動が、
こどもエコクラブの何よりの魅力です。

-サポーターProfile-

■クラブ名:Happiness(高知県)

■クラブカテゴリ:その他/メンバー6名・サポーター2名

Happinessさんは、結成5年目のクラブです。インタビュー.bmp結成当時6年生のメンバー6名が卵からニワトリを育てることから始めた活動は、メンバーの自由な発想と抜群の行動力で毎年パワーアップしながらその活動の幅を広げています。
そんなHappinessさんを長年温かい眼差しでサポートされている時久さんにお話を伺いました。

クラブのメンバーとサポーターの構成を教えてください。
また、活動を始めたきっかけを教えてください。

平成25年度のクラブメンバーは高校3年生6名(男子3名、女子3名)、サポーター2名です。小学校6年生の時、同じクラスの8名の子どもたちが自主的に立ち上げたこどもエコクラブの活動が、卒業してからもずっと継続しています。結成当時からのメンバー5名、中学校で新しく加わったメンバー1名で、中学校で再結成し、「Happiness」となりました。現在、全員高校3年生です。6年生の時は、「私たちとニワトリは家族」というテーマで、卵からニワトリ10羽を育てることを中心に様々なエコ活動に取り組みました。友達と一緒に創意工夫しながら行う活動の楽しさが、7年間の継続につながっています。

Happinessさんは長年多様な活動を続けていらっしゃいますが、
活動中のメンバーの様子を教えてください。

中学校で再結成した時から、「できる人が、できる時に、できることを」をモットーに活動しています。Happinessさん⑦.JPG
中・高校生は、部活動や補習授業等、学校での活動が多く、6人全員が揃うことはまれです。高校生になると、通っている学校がそれぞれ異なり、一緒の活動はますます難しくなりましたが、メンバー意識は強く、可能な時には集まって活動しています。とにかく一緒に活動することが楽しくて仕方がない6人です。活動は、女子2名が中心です。

高校生になってからは、一緒に活動している「ハピネス ジュニア(中学生)」「ハッピーコロリン(小学生)」「ミドレンジャー(小学生)」のリーダーとして、下級生の育成、支援にも力を発揮しています。

メンバーが自ら継続している活動がありましたら、教えてください。
また、その活動を継続している理由や、サポーターの働きかけで
長年継続している活動があるようでしたら、その働きかけの秘訣を教えてください。

中学校から継続している活動は「シカ食害で悲惨な状況になっている物部川源流域での森林復元活動」です。高知大学教授や地域のボランティアの力を借りながら、「さおりが原」「みやびの丘」にHappinessが設置している保護柵内での植物再生活動、地域の人たちとともに行う木の『ラス巻き』(金網の一種であるラスで樹木の根元周辺を覆って保護すること)、「みんなの物部川実行委員会」のメンバーに入っての企画、立案等、意欲いっぱいに力強い活動を行っています。

中学校でクラブを再結成した時にサポーターとして働きかけたことは、当時メンバー全員の心を占めていた、小学校でのテーマ「私たちとニワトリは家族」からの中心課題の切り替え、活動の発展でした。

そこで、高知大学農学部の依光良三先生に「物部川源流域でのシカによる食害の状況と森林復元活動」について話をしていただきました。初めて知ったシカによる食害問題と大人の一生懸命の取り組みに感銘を受けた子どもたちは、早速この課題にとびつき、自分達のメインテーマに位置付けました。

サポーターとしては、2~3のテーマの投げかけをして、Happinessの活動のメインテーマにつながれば...とは考えていました。感動しやすい子どもたちですのでちょっと予測していたように、最初に聞いた依光先生の話で、このテーマでの「活動開始!」となりました。

Happinessさん連結1.jpg

継続した活動をすることで地域への影響はありましたか?
地域の方たちへの広がり等がありましたら教えてください。

とにかくエコ活動が楽しくて仕方がない子どもたちです。サポーターからも次第に自立し、高知大学、高知工科大学、地域の専門家、ボランティアの方たちと森林保全活動を行う事が多くなってきました。

森林の再生は困難な問題で、専門家、地域ボランティア、行政等、全力で取り組んでいますが、解決には遠い道のりです。Happinessが一番力を発揮しているのは地域への啓発です。啓発パネルを作って、庁舎、学校、各種のイベントで展示したり、森林の現状や取り組みを、シンポジウム、こどもエコクラブ交流会、川まつり等、機会がある度に発表したり、啓発のためのチラシを作って配布したり、大いに地域貢献をしています。子どもから投げかける啓発は効果が大きく、森林保全活動をしている大人からも高く評価されています。

サポーターになって、悩んだり困ったりしたことはありましたか?
またどのように解決しましたか?

一番念頭に置いているのは、高知県内のこどもエコクラブの広がりと充実です。

私のサポーター歴は17年なのですが、前半の12年間は勤務していた小学校(2校)で授業活動として、その後の5年間は校外活動での子どもたちの支援として取り組んできました。

小学校では、多い時は校内に37のクラブが活動してしました。学級内の活動も一部ではありましたが、ほとんどが授業外での自主活動で、「ニワトリ、山羊、ブタなどの動物飼育」「ケナフ、野菜、花の栽培」「節電」「ゴミ拾い」「山、川、海のつながり」などクラブ毎のテーマをもって活動していました。

休み時間、放課後、休日を使って、たくさんのエコ活動を楽しんでいました。退職後、Happinessが結成され、現在5つのエコクラブが一緒に活動しています。

Happinessは、小学生や保育園幼児で結成しているクラブの育成を楽しんでいます。森林保全活動も一緒にしますし、川や海での体験活動、ものつくり、ゴミ拾い、量販店や工場の環境に配慮した取り組みの見学など、ミーティングでの意見をどこに置くかが難しく、平成21・22年度は私の勤務していた香南市教育支援センター内に、平成23・24年度は「物部川21世紀の森と水の会」事務局内において活動しています。どうすればこどもエコクラブの広がりと充実につながるのか、まだまだ模索中です。

Happinessさん連結2.jpg

こどもエコクラブを通じて、ご自身が変化したことはありますか?
また、サポーターとして活動を継続されている理由を教えてください。

子ども達を育てる方針として私が何よりも大事にしているのは、「仲間と知恵を出し合いながら、力強く社会を創っていく人間の育成」、エコ活動の支援で最も大事にしているのは、「自ら進んでエコに配慮した行動ができる人間の育成」です。

どちらも子どもが自ら学びとっていく「考え方」「学び方」「行動」「習慣化」を目指す活動支援、人、自然、社会と関わる体験を最も大事にした取り組みであるため、時間がかかります。何よりも大事なのは、「楽しさ!」です。サポーター仲間が申し合わせていることは、次の4点です。

(1)「子どもの内面理解に努める」

子どもの創造力、チャレンジ力を引き出すために、サポーターは子どもの内面理解に徹する。子どもから考えが出てくるように、「待つ」ことを大事にする。

(2)「答えを言わない」

子どもの質問に直接の答えを言わない。サポーターはエコ活動のコーディネーター役。答えは、関わってくださる地域の人からもらえるように、地域へ子どもを押し出す。

(3)「すべてOKする」

子どもが思いついたことに、感動をもって賛成する。「できる」「できない」をサポーターが決めるのではなく、判断するのは子ども。「できるかな?」と思ったことは、子どもに「よく考えたね。どうやってする?」と聞くことから始めれば、子どもが過程を創り、活動を広げていく。

(4)「人、自然、社会とのかかわりを広げる」

直接体験を何よりも大事にする。特に、保護者、地域の人、専門家等、人との出会いを重視する。子どもたちの知りたい答えを地域の人からもらうことにより、人に対する感謝や尊敬、自分への自信が生まれてくる。

子どもはいつも前向きで、向上心に満ちあふれています。子どもを支援しているようで、実は自分自身が純粋な子どもからたくさんのことを教わっています。

サポーターとしてメンバーを支えていらした中で、心に残っているエピソードなどを教えてください。

たくさんありすぎてエピソードの山です。

一番最初のエピソードは、小学校3年生の子ども4人組が「羊を飼いたい!」と言いだしたことから始まります。「羊を飼って、マフラーを作りたい!」が理由でした。Happinessさん②.JPG

地域に「羊の赤ちゃんいませんか?」と投げかけているうちに、ある日、牧場のおじさんから「山羊の赤ちゃんが届きましたよ。」との連絡。「えっ!山羊?」と慌てた子どもたちは話し合いの末、「優しいおじさんの気持ちを大事にしなくては。」と、牧場に山羊をもらいに行きました。当時、子どもたちの話し合いを聞きながら、3年生になったばかりの子どもたちが人の気持ちを深く考えていることに、私自身が感動したことを今でも鮮明に思い出します。

朝7時に登校し、小屋の掃除、エサやり、乳搾りをし、家庭科室で沸かした山羊の乳を美味しそうに飲んで、「行ってきまーす!」と教室に出かけて行った子どもたちの姿は、私の目に焼き付いて離れません。子どもたちは、卒業するまでの4年間、山羊との生活の中でたくさんのことを学びました。子ども達の発想や行動は奇想天外、エピソードだらけで、本が1冊書けそうなぐらいあります。子どもにとって、その時、「失敗!」と思ったことがとても大事な要素を秘めているのです。

活動をはじめて間もないサポーターにアドバイスをお願いします。

Happinessさん①.JPG

とにかく子どもとのエコ活動を楽しんでください。「教えてあげよう!」なんて思わずに、「子どもといっしょに活動しながら、学んで行こう!」という姿勢で、肩の力を抜いて取り組んでください。子どもが思いついたことは全部、エコに関係があります。心配になったら、子どもに「どうしてこれがエコなの?」と聞いてみてください。それが一番の解決法です。

今後の活動への抱負や意気込みを教えてください。

現在、子ども13人、サポーター9人で活動しています。サポーターの代表は、私と私より1年前に始めた元養護教諭の村上操先生。私たちが、現在最も力を入れていることは、若いサポーターの育成です。ここ3年間は、いくつかの家族が集まって一つのクラブを結成するようにしています。子どもと親が一緒に活動を楽しみながら、サポーターとしての支援姿勢や方法を身に付けていっています。活動を支援してくださる大学の先生や地域のボランティアは大勢いますので、サポーターの数が増えたら、子どもの数も増やそうと考えています。Happinessもサポーターとして力を発揮できますので、今後、活動は広がっていくと思っています。

こどもエコクラブの魅力は、どういうところだとお考えですか。

「地球を守る!」という子どもたちの夢あふれる活動です。どんな活動をしていても、すべてエコにつながります。仲間といっしょにする楽しい活動です。みんなで考えて、次々と発展させていく体験や活動が何よりの魅力です。Happinessは、「地球を守る」視点をいつも持ち、周りを巻き込みながら元気に活動しています。Happinessの活動に長年寄り添っていて、子どもたちの問題解決力、創造力、チャレンジ力、表現力、かかわり力が大きく育っている事が確信できます。「仲間と知恵を出し合いながら、力強く社会を創っていく人」「自ら進んでエコに配慮した行動ができる人」に、育っていっていることをとてもうれしく思います。

Happinessさん連結3.jpg

みんなもチャレンジしてみよう!

「リアルヴォイス」では、幼児から取り組める簡単なプログラムから、学校や地域全体で取り組めるプログラムをご紹介いただけるサポーター&コーディネーターを大募集しています!また「こんなプログラムを紹介してほしいな」というリクエストも同時に受付けています♪

タイトルを「リアルヴォイス」とし、ぜひ全国事務局までメールをお寄せください。
プログラムをご紹介いただいた方は、こどもエコクラブ粗品を差し上げます。
皆様からのたくさんの声(ヴォイス)を、お待ちしています!

こどもエコクラブ全国事務局