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リアル・ヴォイス☆Premium(プレミアム) Vol.5 まなび・ねっと

2019.01.25 掲載

こどもエコクラブに関わるサポーター・コーディネーターさんたちが、こどもエコクラブのサポートやコーディネートを通じ、どんな活動プログラムを行っているのか、またどんなことを感じているのかそのリアルな声をご紹介します♪

他のサポーターさんやコーディネーターさんのご意見は、クラブをサポートする側にとって大変興味深いものかと思います。このコーナーがクラブに関わる多くのみなさんにとって取り組みのヒント・今後の活動の充実のための参考となって、どんどんクラブが元気になりますように★

「リアル・ヴォイスPremium(プレミアム)」第五弾は福岡県飯塚市で活動13年目の家族のクラブ「まなび・ねっと」!双子のメンバーがいろいろなことに興味関心をもって活動に取り組んでいます。代表サポーターの近藤哲司さんにクラブの活躍と今後のこどもエコクラブへの夢について、インタビューしました。

近藤 哲司さん プロフィール】
・環境カウンセラー
・平成18年にこどもエコクラブ「まなび・ねっと」として活動をスタート。その後、福岡県飯塚市の環境保全にも寄与する活動にもかかわる。
・平成25年福岡県環境保全功労者賞 受賞
・平成30年地域環境保全功労者 環境大臣賞

 

こどもエコクラブに入って体験活動の楽しさを実感!

 子どものころから昆虫採集や化石採取が大好きで、高校では環境保全の基礎を学びました。大学卒業後社会人になった後も、環境省が全国に呼び掛けた生き物調査に参加して、地元のセミの生態調査にも参加するなど地域の環境活動に関わっていました。平成14年、飯塚市が立ち上げた「いいづか環境市民会議」の委員募集に、市民の環境保全活動の場の普及(環境教育)に携わりたいと考え応募、これまでの経験が認められて環境教育部会の部会長に就任しました。環境基本計画に「こどもエコクラブ設置」が謳われたため、私は推進役のリーダーのひとりとして、市民への勧誘を促進する以上、まず自分が実際に経験することが大事と思い、こどもエコクラブに登録。地元の学校やPTAにご説明にも出かけました。
実際に落ち葉でたい肥をつくったり、子どもたちに自然観察の方法を指導するなど始めてみると、子ども以上に「体験活動の楽しさ」に自分自身がどんどんのめり込んでいったというのが本当のところです。

活動を投稿するとお褒めのコメントがもらえる!

 こどもエコクラブのいいところは、何といっても、「設立が簡単」なこと(全国事務局に届けを出すだけ)です。そして、難しく考えずに興味のあることから始められる、活動レポートを投稿したら「お褒めのコメント」がある、定期的にイベントの紹介やグッズの提供があることなど、多くのメリットがあることが功を奏して活動を13年にもわたって継続することができました。その間、メンバーである子どもたちも大きく成長しました。こど もエコクラブで地域に働きかけた活動を紹介します。

こどもエコクラブ活動で地域の環境改善に貢献!

【地域の環境改善①】フン害の研究で地域の環境美化改善

realvmanabi1.jpg「まなび・ねっと」メンバーが小学校高学年のときに、「犬を飼いたい」というので「ご近所ではどのように飼っているのか」聞き取り調査をしたところ、「フン害」に悩んでおられる方が多いことがわかりました。自宅周辺の半径500mの地図に犬を飼っている家庭とフンが落ちている場所を書き込んでみました。マナーの悪い人がいると良識のある人も肩身の狭い思いをすることがわかり、後日このことを「壁新聞」にまとめ地域事務局に提出したところ、状況が把握できる調査であると評価されて、「飼い主のマナー向上」について市の取組みに少し役立ったという手ごたえを感じました。一方で、メンバーたちはそれをきっかけに犬を飼うことは諦めました。活動を通じて、犬を飼うことが楽しいことだけではなく、地域でマナーを守る必要があることを学んだのだと思います。また、小学校低学年の時に連れて行った県主催の「殺処分されるペットたち」の啓発イベントを思い出し、現実を知るほどに生半可な気持ちで生きものを飼ってはいけないと悟ったのかもしれません。

【地域の環境改善②】科学データの重要性を知り、地域の外灯の明るさの環境改善に取り組む

realvmanabi2.jpgメンバーが中学生のときには、「市街地の外灯の明るさに関するもの(地元の大学生の卒業研究)」に参加する機会がありました。限られた時間と人員でしたが、計画的に機材や測定器具を使ってデータを集めていく大学生の姿に子どもたちはとても感心していました。肉眼では明るく感じていても機械で測ると安全基準以下である場合が多く、不用心であることがわかりました。感覚的なものも大切ですが、科学的なデータによる根拠の説明が説得力を持つことに触れた良い機会であったと思います。今後の活動や学習の指標になったので、今後も地域の外灯の明るさに関して調査して環境改善に取り組んでいくことになりそうです。

私が思う「こどもエコクラブの良さ」

こどもエコクラブに入っていなければ、自然に触れて「ああ楽しかったね」で終わっていたと思います。クラブとして活動すること(「目的意識をもったうえで」自然に触れること)で、子どもたちは自然の大切さや環境について学ぶことの必要性をより感じることができました。私が感じるこどもエコクラブの良さをまとめます。

【①子どもたちのすこやかな成長を育みます!】
幼い頃から自然や人とのふれあいを経験した子どもたちは、社会貢献をする大人に成長することが多いと聞きます。こどもエコクラブの様々な体験活動を通して、その意義と効果を理解し、意欲的に行った結果、評価されることを知ることで、「自尊意識」が向上し、社会貢献できる大人になりつつある姿を見られることに幸福を感じます。
  • 【②自然にエコ意識を身につけます!】

    イベントなどに参加して、「地球温暖化」を見聞きすることが多くなった頃からこどもエコクラブの活動をはじめたので、メンバーの「省エネ」に対する意識はとても高いです。部屋の温度計が30℃を超えると、メンバーを含め家族全員で室温が26~28℃くらいになるようにエアコンを設定した一室に避難します。「省エネ」に関して抵抗感なく、使っていない部屋の電気やテレビは消されています。こちらから「〇〇しなさい」と言わなくてもとても自然にエコな行動ができています。この自然な行動をまわりの大人たちがほめることで、子どもたちは大人たちの感謝の気持ちをくみとり満足します。どんな小さなことでも、子どもたちにとって自分たちの行動により「承認欲求(他人から認められたいと思う気持ち)」が満たされることは、「社会参加」や「社会奉仕」に繋がり、「生きる力」を育む原動力となるようです。

【③主体的にかかわる力をのばします】
普段は引っ込み思案なメンバーですが、クラブでの体験活動などで他人と関わるときは積極的なのでそのギャップに驚かされます。参加意識の高さからくる使命感がそうさせるのでしょう。普段はおとなしいのに、活動となると積極的!自らやりたいものについては、アクションが大胆になるようです。下記の画像は、メンバーが本当にやりたいときにみせる生き生きとした瞬間を捉えました。
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自身が写っている※「川ひらた」の記事とともに
※「ひらた船」と呼ばれる川船
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セミの抜け殻を指し示すメンバー

全国や地域で環境活動をしている人たちとつながると思いがけない効果が

地域事務局や全国事務局から紹介されるイベントなどには積極的に参加しましたが、紹介されたイベントに参加すると担当の方と直接お話しできることがあります。休日を返上して企画や運営をされる方の顔を見るととても印象に残りますし、後日のお電話やアンケート等にお応えしたりするときにしっかりとやりとりができます。やはり、お顔を拝見することで距離は確実に縮まります。WEB に活動を報告した後、全国事務局からコメントを付けてもらうこともあり、とても励みになります。

私の夢~こどもエコクラブの活動の輪を広げたい!

さらに、これからこどもエコクラブを通じてどのような夢を実現したいのかについて、語っていただきました。

【つながりあえる3つの場の企画】

<サポーター同士をつなぐ場>

主役は子どもたちですが、それを支えるサポーターの支援が必要だと考えています。ですので、たとえば都道府県事務局単位でのサポーターの意見交換会や茶話会などの交流会の開催を企画したいと思っています。

ただし、交流会は、その後の具体的な連携の端緒に過ぎなくて、実際に会うことがまず大事です。しかし、単なる「その場限りの交流」だけでは、あまり意味がありません。お互いの連絡先の交換に始まり、「オフ会」の開催、「壁新聞づくりの予行」としての年末の報告会などの通年の企画が必要と考えます。

当初の運営には、地域事務局の協力が欠かせません。5年を目途にサポーター主導の運営となる事が前提だと考えています。
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サポーターズサミットにて

<経験豊富なベテランなサポーターさんとビギナーのサポーターさんをつなぐ場>

私の所属するNPO法人ではこどもエコクラブの支援を毎年の計画に掲げて、特に経験豊富なサポーターさんとビギナーのサポーターさんとの繋ぎ役となるような「交流会」の企画運営を念頭に置いて考えています。その際は、経験豊富なサポーターさんへの事前のレクチャーが必要です。ビギナーさんへの対応の仕方、例えば「上から指示しない」「考えを押し付けない」「話の聞き手に徹する」など、意欲を失わせるような言動を慎み、良き相談相手となることが後進の育成につながることを理解していただくことなどです。個人の技能や実績の積み上げは当然のことですが、認知された団体を通じて社会貢献していくことが早道だと思います。志を同じくする仲間と共に知恵を絞り、汗を流しながら関係機関や団体・企業との良好な関係の構築が実を結ぶと確信しています。

<こどもエコクラブの有識者と地域をつなぐ場>

特に家族単位のサポーターさんで卒業を迎えた方を「こどもエコクラブの有識者」として登録するイメージをもっています。サポーターとしての経験値をそのまま眠らせておくのはモッタイナイので、都道府県事務局に「有識者」として登録をお願いし、活躍の場を提供できるような仕組みを検討しています。

家族単位のクラブのサポーターさんには子どもの成長と共に「卒業」がやってきます。そこで、サポーターOB、OGの活用を考えています。ただ単に「有識者」等と登録するのではなく、e-ラーニング(簡単なテスト)受講者を認証し、名簿に登載しておき、地域につなげていきたいと思います。どのような形にしていくのか現在進行形で検討中なので、ぜひ全国のクラブの皆さまからのご意見を伺いたいと思っています。

~こどもエコクラブ全国事務局より〜
家族のクラブとして13年間継続してきた「まなび・ねっと」さんのこどもエコクラブの活動は、地域の中でメンバーもサポーターさんもその経験を次のステージにつなげていく力強いパワーをもっていると感じました。福岡県飯塚市において、環境カウンセラーとしても活躍されている近藤哲司さん、これから家族のクラブのリーダーとして交流会を計画されるなど期待大です!全国クラブの皆さまからのご意見を伺いたいとのことなので、ぜひご意見や感想をお寄せください!

みんなもチャレンジしてみよう!

「リアルヴォイス」では、幼児から取り組める簡単なプログラムから、学校や地域全体で取り組めるプログラムをご紹介いただけるサポーター&コーディネーターを大募集しています!また「こんなプログラムを紹介してほしいな」というリクエストも同時に受付けています♪

タイトルを「リアルヴォイス」とし、ぜひ全国事務局までメールをお寄せください。
プログラムをご紹介いただいた方は、こどもエコクラブ粗品を差し上げます。
皆様からのたくさんの声(ヴォイス)を、お待ちしています!

こどもエコクラブ全国事務局