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Case17.~忍者の故郷「甲賀の薬草」をテーマに学校内ビオトープ(薬草園)独自の活動を継承! 油日小子どもエコクラブ(滋賀県甲賀市)

2021.07.10 掲載

こどもエコクラブには毎年約2,000クラブ、10万人の子どもたちが参加しています。
この「リアルヴォイス」のコーナーでは、まちのエコのため、地球の環境を守るために日々コツコツとがんばるクラブと子どもたちにスポットを当てます!次はあなたのクラブがインタビューされるかも!?

今回は滋賀県甲賀市甲賀町の「油日小子どもエコクラブ」さんの登場です★

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甲賀市は忍者で有名な土地柄ですが、忍者が常に持ち歩いたという薬になる薬草が、地域のいたるところに残されています。この地域は土壌や 気候が適していたこともあり、昔から薬草の宝庫。忍者が持ち帰った知識と結びついて、古くから製薬業が発達しました。そんな土地柄を生かして地元の薬品メーカー、シオノギ製薬(株)油日植物園の協力により、子どもたちのために1000㎡ある学校内ビオトープの一角に薬草園を併設しました。
油日小子どもエコクラブさんは、高学年を中心にした児童会の活動も活発で、どの委員会もエコ活動を取り入れています。特に、エコ活動の中心になるエコ委員会は、自然観察・自然遊びを紹介したり、節水・節電を呼びかけたりする活動を続けて、すべての活動がエコの観点でとりくまれているといっても過言ではありません。


それでは早速、インタビューしてみましょう!インタビュー.bmp

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学級エコ宣言集会 エコ委員会の自然観察会で「オオバコずもう」を楽しむメンバー

interviewmigi-t2.png油日小こどもエコクラブの活動は、一体どういうものなんでしょうか?
 


油日さん円形.png「ビオトープを中心にした学習」、「学級エコ宣言に基づく活動」、「児童会活動」の3本柱で環境教育を油日小の特色として位置づけて進めています。さらに「自分を大切に・人を大切に・ものを大切に・自然を大切に」を合言葉に、こどもエコクラブに登録し、毎年、校長先生のキックオフ宣言、各学年のエコ宣言を柱に1年間の活動を進めています!
こどもエコクラブとしての活動歴は今年で20年目になります。油日小学校のビオトープは、平成11年に整備され、それ以後、活動の中心となってきた存在です。それぞれの学年の子どもたちが、四季折々の自然と触れあい親しむ中で、各教科や総合的な学習の時間やエコ委員会の活動を進めています。休み時間にビオトープで遊ぶ子どもたちも多いです。全国ビオトープコンクールにも長年参加し、多くの賞をいただいてきました。四季折々のビオトープの姿や、子どもたちの活動の様子は油日小学校のウェブサイトからもご覧いただけます。

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紫根染めの様子 紫根染めをした布を使って卒業記念の家族へのプレゼント作り

interviewmigi-t2.pngこれまでの活動で一番自慢したい活動、やってよかった!と思うものは何ですか?
 


油日さん円形.pngやはり、薬草園で育てている薬草を用いた独自の活動です。毎年、3年生はアイを植え、9月に成長した葉を使ってアイのたたき染めに挑戦します。また、6年生はムラサキを植え、12月に根を掘り起こして紫根(シコン)染めを行います。卒業記念にその紫色に染まった布を使って家族へプレゼントつくること。どちらも、子どもたちが楽しみにしている油日小ならではの活動となっています。

interviewmigi-t2.png近年はSDGsの取り組みの重要性がうたわれていますが、学校のクラブで活動していく上で、SDGsについて意識していることや、学校で活動してきてよかったことなどはありますか?
 


油日さん円形.png学校では、甲賀地方の原風景を基本に造成されたビオトープを守るために、途中混入したアメリカザリガニの棲み分け活動をしたり、在来種の「ガガブタ」を栽培したりしています。

また、総合的な学習の時間の3年生「めざせ!薬草はかせ」4年生「わたしの森林体験」5年生「水環境学習」6年生「油日再発見」では、学習の出発点もゴールもSDGsの考え方から実施しています。5月のエコ宣言集会で発表する各クラスのエコ宣言は、油日小の「自分を大切に・人を大切に・ものを大切に・自然を大切に」から考え、クラスで一年間大切にしていこうと考える実行可能なことを宣言にして発表しています。 エコ宣言は、2学期終業式に中間のふり返り、3月に1年間のふり返りを行い、できたことを発表するようにしています。       

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昼休み、エコ委員会主催の自然観察会。エコクラブノートをもって観察をするメンバー

interviewmigi-t2.png20年活動を続けることで子どもたちの成長を感じた点はありますか?

 
 

油日さん円形.pngはい。たとえば、低学年の子どもたちがまだ学んでいない外来種の存在に対して、どのような対応をとるべきかをすでに理解しているように感じることです。その理由として、低学年の子どもたちは、高学年の活動を見てあこがれをもって、「〇年生になったら〇〇ができる」と楽しみにしているので、高学年の活動の話題や内容が低学年にも自然な形で浸透していることがあげられます。すでに興味関心があるので、とても理解が早く、わざわざ教えなくても自然に身についているのではないかと感じます。日ごろの体験と異学年によるコミュニケーションで、すでに一歩進んでいるイメージです。
また、ビオトープを懐かしく思い出して訪ねてくる卒業生がいますので、それもとても楽しみにしています。

interviewmigi-t2.png長く続けているからこそ感じるこどもエコクラブの良さは何だと思いますか?

 
油日さん円形.png

メンバーが主体的に活動を計画し、実行できることです。最初はサポーターが援助はしますが、やらされている子も、だんだん前向きに活動するようになります。そして、やりたい気持ちを強く持つ子が毎年活躍するようになります。
実際に、子どもたちが企画する自然観察会は、マンネリ化したり観察するのにちょうどよい時期を逃したりすることもありますが、徐々に工夫を重ねて参加人数が増え、子どもたちの気持ちの充実につながっています。
また、「五・ 五(5年生と5歳児)交流」では、就学前の園児にビオトープの楽しさや約束を子どもたちから伝えることで、地域の自然を守ることの大切さや外来種の問題に気づき、持続可能な社会を考えるきっかけとなっています。

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ムラサキの植え付け
~全国事務局より~
ecomaruegao透過.png今回は、忍者で有名な甲賀市の小学校のクラブならではの独自の活動を伺えました。特に、多くの皆さんがおそらく中学生の頃に習った万葉集の歌の一つ「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」に出てくる「ムラサキ」を育てて、染色しているということで、地域の産物を生かした特色のある活動だと思いました。しかも6年生が卒業の記念に紫根染の布で作った品をプレゼントするなんて、親御さんたちの感動は間違いなし!毎年、その活動を楽しみにしているメンバーの気持ちが伝わってきます。そんな憧れの気持ちが子どもたちをぐっと成長させるヒミツなんでしょうね。
最後に、とても印象に残った先生のお話として、「繰り返し続けること」があります。「本人が続けることはもちろん、すべての子どもたちがじっくりと繰り返し、繰り返し継続することが大切です」というお話はとても重要だと思いました。繰り返し繰り返し続けて、そこでしかない想い出を持てる喜びは、大人になってからも宝物です。これからもずっと継続していくとよいなと思います★

 

「リアルヴォイス」では、以下のようなクラブやメンバーたちをとりあげて紹介していきます。
インタビューを受けてもいいよ☆というクラブのみなさん、
ぜひ全国事務局までメールをお送りください!

  1. 地道にコツコツと地域で活動しているよ!というクラブ
  2. ゆかいなクラブ名の秘密、教えます!というクラブ
  3. 大学生・社会人としてがんばっているこどもエコクラブのOB/OG